やる相手いないのにトランプガチャっちまった……

おとなりさん①

イラスト集

プロローグ

私は1人の時間が一番好きだ。

自分のやりたいことを制限なくやることができるからだ。

対して、人付き合いは嫌いだ。周りに合わせて行動する煩わしさ、他人の機嫌を気にして溜まるストレス、ただただ疲れるだけだ。

かといって、1人で生きていける訳では無い。ならば、生きていく上で必要最低限の人付き合いに留めたい。

余計な関係を築かないよう、親しすぎず、ヘイトをため過ぎず、目立たないようたち振る舞う。

友達なんて以ての外だ。貴重な1人の時間を潰す存在だから。

周りは友達のいない私を憐れんでいたが、私はむしろ誇りに思っていた。自由で充実した日々であった。

あいつが来るまでは

再会

ピンポーン

インターホンがなった。受話器をあげる。

「どちら様ですか?」

「あ、っと……隣に引っ越して来たものです!ご挨拶をしに、参りました。」

珍しい来客だと思ったら、隣に引っ越して来たのか。軽く挨拶して帰ってもらおう。

ドアを開ける。ん、こいつ獣耳とアンテナが生えている。同種か。訪ねてきた相手は、私の姿を見ると目を見開いた。

「……どうされましたか?」

「ぼ、ぼくのこと覚えていませんでしょうか?」

「人違いじゃないですか?」

「会ったときは人型ではなかったんです!昔、小川の流れる森の中に通っていたたぬき型の者です!」

「…覚えがないですね。」

あいつか。厄介なやつと再会してしまった。

回想

私がまだきつね姿のゼリー体であったとき、同じきつね型の群れの中で一緒に住んでいた。

騙し合い、利用し合う群れの奴らと一緒にいるのが嫌で1人になる場所を欲した。

その時のお気に入りの場所が小川の流れる森であった。現世から切り離されたかのような、きれいな景色に惚れてから、時間を見つけては人目を盗んで訪れていた。

ある日、いつもの場所に向かっていたら先客が1人、ぽつんと座っていた。

それがあいつだ。1人になれる、お気に入りの場所だったのに。

草場に隠れながら、立ち去ってくれないかなと伺っていると、あいつは気配に感づいたのかこちらの草場を振り向いた。

おかしい。音は立てないようにしたはず!

「誰か、いるのでしょうか…?」

そう声をかけた後、奴はこちらに近づいてきた。どうする?この状況は弁明しづらいし、第一に関わり合いにはなりたくない。一か八か……

奴がこちらを見つける寸前に、ゼリー体を軽く変形させ、草場から私が思いつく限りの怖い顔をざばっと出した。

「うお”お“お“お“ぉ“お”!!」

「ぴゃーーーぁ……」

効果はテキ面。だが、奴はその場で気絶してしまった。逃げ帰ってほしかったのだが。

くそ、このままにして人目のつかない森の中で息絶えられるのも困るぞ。しかも、倒れた拍子に地面の枝に引っ掛けて怪我してやがる。訴えられるのも嫌だな。

私は奴の怪我したところに自身が生成したゼリーを塗って塞ぐ。奴の寝顔を見ながら、このまま起きなかったらなんて最悪な想像をして背筋を凍らせる。

そうこうしていると、奴の瞼が動く。やばい、素顔は見せないようにしないと!私はその場を離れる。

「ま、まって!」

大分距離を離してから振り返り、奴の無事を確認した後、その場を去った。

気絶するくらい怖い思いを奴はしたのだ。もうあの場所には来まい。と、翌日いつもの場所に来たら、奴はまた居た。私に会うことを目的としているのならと1週間置いたあとに訪れても奴は居た。思い切って我慢して、1ヶ月後に訪れても奴は居た。

私は諦めてあの場所に訪れるのをやめた。しばらくして、一人暮らしするための資金が貯まったため、きつね型の群れから離れて暮らすことにした。

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